清水永之:ボーカル・レコーディングを極める
第1回:ボーカル・レコーディングにはマイクが必要
(2008 年 9 月 23 日) このセミナーではボーカルのレコーディングに焦点をしぼって、レコーディング環境、マイク選び、その他レコーディングにおける注意点、ミックスダウン、エフェクトの使い方などに触れていきたいと思う。
■メディアの選択
まず、レコーディングするメディアに何を選択するか? ここ数年はハードディスク・レコーディングが主流になってきている(映像などでも一般的になりつつある)。
メディアとしては、ハードディスクのほかにVHSやhi8、MD、その他メモリ(フラッシュメモリほか)などを使用するものもある。ハードディスクを使うタイプにも、パソコンを使用するDAWソフト(ProTools、Nuend、その他)のほか、ミキサーやエフェクター、レコーダーが一体になっている専用機がある。専用機の中には、VHSやhi8などの磁気テープやMDを使う機種もある。特殊なものとしては、オープンリール・テープを使ったデジタル・レコーダーもあるが、通常はレコーディング・スタジオの設備として使われており、個人レベルで所有、使用している例は少ないだろう。
音を録音する方式としては、アナログ方式とデジタル方式がある。アナログ方式では音の信号を直接テープなどに書き込むのに対して、デジタル方式では音を一旦データ化したものをメディアに記録するというもの。
最近ではデジタル方式のDAWソフトが主流となっているが、その理由としては、劣化が少なく、ダイナミック・レンジが広くとれるといった点が考えられる。編集作業のフレキシビリティ、バランスやエフェクトなどの管理が簡単にできる点も便利だ。
■マイクについて
歌を録音するために絶対必要なのが、マイクである。
マイク自体を知らないと言う人は少ないと思うが、録音する場合にはマイクの特性やキャラクターといった要素が重要になってくる。一言でマイクと言っても、その中にはいくつかの種類があり、目的に応じて使い分ける必要がある。
スピーチやライブなどで目にするマイクはダイナミック・マイクと呼ばれるタイプで、ダイナミック・レンジは広くないが、“吹き”や“衝撃”に強いので扱いやすい。そのためライブやドラム、ギターなどにも対応できる。代表的な機種には、SHUREのSM58(写真1)やSM57(写真2)、SENNHEISERのMD421(写真3)、ELECTRO-VOICEのRE20(写真4)などがある。
●写真1
●写真2
●写真3
●写真4
それとは別に、本体に増幅回路を持ったタイプのマイクもあり、コンデンサー・マイクと呼ばれている。このタイプのマイクは、衝撃には弱いがダイナミック・レンジが広く、小さな音でも収録できるようなものもある。コンデンサー・マイクは、マイクの内部に電流を通して、電極に流した電荷の変化を電気信号にするため、ファンタムと呼ばれる電源が必要で、ミキサーやインターフェイスから供給する必要がある。衝撃や湿度に弱いので、管理には注意が必要だ。ボーカルをクリアに録音するためにはこうしたコンデンサー・マイクをお薦めだ。代表的な機種には、NEUMANNのU87A(写真5)、AKGのC414、C451(写真6)などがある。
最近では安価なものもあるので、ボーカル録音をするのであれば、できればコンデンサー・マイクは備えておきたい。高価なものは性能も良いのだが、RODEのNT1-A(写真7)などはリーズナブルな価格ながら高価なマイクに負けないクオリティ持っており、よく使用されている。試してみるといいだろう。
●写真5
●写真6
●写真7
次回はマイク周辺の機材や録音のプロセスについて解説していこう。





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