清水永之:ボーカル・レコーディングを極める
第3回:モニター環境の作り方
(2008 年 10 月 19 日)前回まででレコーディング環境やマイク・セッティングについて説明してきたが、今回はモニター環境にスポットを当てよう。モニターとは、レコーディング中の音を聴くためのシステムのこと。歌っている最中には、通常ヘッドフォンでモニターするが、ミックス・ダウンをする際にはモニター用のスピーカーが必要。最終的な音を左右してしまうので、非常に重要だ。
■モニター・スピーカーの必要性
前回紹介したセッティングの延長でモニターについて考えてみよう。オーディオ・インターフェースにはアウトプットに加えてヘッドフォン・アウトがあるので、ヘッドフォンでモニターすることもできる。最終的なミックス・ダウンのことも考えると、スピーカーは用意した方がいいだろう。
ここでスピーカー選びだが、個人的に好みのサウンドというよりは、個々の音がくっきりと聴こえる製品を選んだ方がミックスしやすいだろう。
▲ディスプレイの両脇がスタジオ・モニターの定番、ヤマハNS10M
もちろん余裕があれば、ミックスされた音を別にモニターするスピーカーなどもあると、2台のモニターを聴き比べてより細かく求めるサウンドをミックスすることができるだろう。この場合、2系統とも同じ製品ではあまり意味がない。プロのレコーディング・スタジオなどでは、ラージ・モニターとスモール・モニターの2系統が用意されていることが多い。ただしこれはヘッドフォンでもいいし、外部入力のあるラジカセを代用すれば、かえってリスナーに近い環境でモニターすることができる。要は、音の聴こえ方はその環境によって異なるので、できるだけいろいろな環境でチェックしたいということだ。
■図1
■モニター・システムの接続方法
接続方法として最も簡単なのは、パワー・アンプを内蔵したモニター・スピーカーをインターフェースのアウトプットと接続する方法(図2)だ。
■図2
もちろんパワード・スピーカーを使用しない場合は、パワー・アンプとスピーカーが別々に必要である。
ただ、録音時のモニターを考えると、間にミキサーなどを挟んだ方がよりフレキシブルなモニター環境を作ることができる(図3)。
■図3
ミキサーを使用すれば、実際に歌いながらモニターする際に、聴きたくないパートをオフにしたり、歌いやすいイコライジングや音量バランスでモニターすることも簡単にできる。さらに、ハードディスク・レコーディング特有のレイテンシー(実際の演奏とモニターの時間差)を緩和することもできる。最近ではオーディオ・インターフェースを内蔵したデジタル・ミキサーもあるので検討してみてはどうだろう。ただし、デジタル・ミキサーをインターフェイスとアナログではなくデジタルで接続する場合も同様だが 、ワードクロック、サンプル・レイトなどの設定が必要になる。 このへんの詳細は次回に説明する。
最近のインターフェースの中にはダイレクト・モニタリングできる製品も増えているので、ヘッドフォンなどでモニターする場合はレイテンシーを気にせず録音することができるのだが、そのような機能がない場合には、ヘッド・アンプからのアウトをインターフェースに送る信号と、ミキサーに送る信号に分岐して、2系統を送るとミキサーから遅れのない音声をモニターすることができる。
ここでいくつか接続例を挙げて説明したが、アナログとデジタルが混在するような接続を行う場合には、自分なりの工夫も必要になってくる。ここで挙げた例を参考にいろいろと試してみよう。
さて、次回はいよいよ実際のボーカル・レコーディングにチャレンジする。お楽しみに。






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