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清水永之:ボーカル・レコーディングを極める

第4回:ボーカル録音にはコンプレッサーが重要

(2008 年 11 月 12 日)

前回まででセッティングなどボーカル・レコーディングのための環境作りについて説明してきたが、今回はいよいよ実際の録音を始めてみよう。

■ダイナミクスを把握する

ボーカルを録音する場合、ジャンルやボーカリストによってもバランスや録音レベルが変わってくる。その前提として、曲の中でダイナミクス、つまり大きい音と小さい音の音量差がどれぐらいあるのかを把握しておく必要がある。なぜか? 以前にも触れたと思うが、楽曲のダイナミクスを最大限に表現するための重要なキーを握っているのがボーカル・パートだからだ。それゆえにキッチリとボーカルを録音する必要がある。

そのためには小さい音を小さいながらもクリアに、そして大きい音は歪まないようになるべく大きく録音しなければならない。そこで重要になってくるのが、コンプレッサーのかけ具合。ハードディスク・レコーディングの場合、エフェクトを後で処理するのが安易なため、イコライザーやコンプレッサーなどのエフェクトをミックスの段階に作り込むことができ、小さい音を大きすることも可能だ。しかし、このときノイズも一緒に大きくなってしまうということを忘れてはいけない。逆に歪んでしまった音をクリアにするのは不可能だ。あたり前のことなのだが、録音の段階でこのあたりに注意しておかないと、ミックスの時に“しまった”などということも、珍しいことではない。

では、具体的にどうしたら良いのか! まずはやはりヘッド・アンプ(インプット)のレベル調整。小さくしても歪んでしまう場合は、PAD(-20dB)を入れてゲインを下げる必要がある。コンデンサー・マイクを使用してレコーディングする場合、オーディオ・インターフェースのHA部分はただのインプットとして使用するだけなので、マイクを接続しているHA側で48Vを供給しなければならない(図1)。

●図1

ここで補足としてデジタルI/Oについて触れておこう。最近のHAのなかにはデジタル・アウト(ADATオプティカル、TDIF、SPDIF、オプティカル、コアキシャル等)を持ったものもあり、HAとインターフェースをデジタルで接続することができる。この際注意しなくてはならないのが、前回も述べたワードクロックサンプル・レイトビットなどを設定して統一しなければならないということ。ちゃんと合わせておかないと、音程がずれたり、ノイズが乗ったりして正常な録音が行えない。ワードクロックは複数のデジタル機器の同期をとるために必要な設定で、マスターのサンプリング・レイト、ビットを設定してスレーブを同期させる(図2)。

●図2

■コンブレッサーでピークを抑える

それではコンプレッサーの使い方を説明しよう。まずスレッショルドと呼ばれるパラメーターでどれくらいのゲインからコンブレッサーがかかり始めるかを設定する。そしてレシオコンプレッションの比率を設定する。比率を高く(12:1)すると音量のばらつきを押さえることができるが、少ないアンサンブルでダイナミクスを要求するような音楽では低く設定(4:1)しておいた方がいいだろう。

スレッショルドも低く設定しすぎると絶えずコンブレッサーがかかっている状態になってしまうので、スレッショルドとアウトプットのつまみを大体10時10分くらいにしておくと無難である。アタックとリリースもボーカルの場合は速めに設定しておくといいだろう(図3)。

●図3(Reason 4に搭載されているMClass Compressor)

最近のDAWソフトではプラグイン・エフェクトとして、後からインサーションすることもできるので、かけて録音するのがちょっと不安な人は、とにかく歌が歪まないことに注意して録音し、あとからインサーションでコンプレッサーをかけてみるのもいいだろう。DAWソフトにはインサーション・エフェクトがたくさんあり、メーカーごとに様々な種類がある。インターネットなどでチェックして、自分の使っているDAWで使用でき、使いやすそうな製品を選ぼう。

■画面1(Reason 4に搭載されているコンプレッサーCOMP-01)

■画面2(アップルLogicに標準装備されているプラグインのコンプレッサー)

■画面3(SSLのアナログコンソール「SL 4000 G」シリーズに搭載されていたバスコンプレッサーを再現したプラグイン)

さて、次回はマイクの位置やノイズ対策に触れていく予定。お楽しみに。

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