清水永之:ボーカル・レコーディングを極める
第7回:リハーサルを兼ねた調整
(2009 年 1 月 8 日) さて、ボーカル・レコーディングのセミナーも後半に差し掛かってきました。
ここまで機材のセッティングや録音の際のノイズ対策などに時間をかけて説明してきましたが、理解はいかがでしょうか?
一度覚えてしまえば、それほど大変な作業ではないのでここでシッカリとおさえておきましょう。
■ボーカルの音量調整
このセミナーではボーカル・レコーディングに焦点を絞っていますが、生の楽器を中心に楽曲をレコーディングする人は楽器のレコーディングにも応用してみてください。ただ、生の楽器をマイクでレコーディングする場合、楽器の特性に合わせたマイク選びやセッティングが必要になるので、注意が必要です。
ドラムの場合は、タムや楽器の数によってマイクの本数も少し変わってきます。あと、音の特性(ハイハット、シンバルなどの金属系、タム、スネアなどの皮物、キックのような低音大音量)によって選ぶマイクの種類も変わってきます。このへんは別の機会に説明することにしましょう。
さて、前回までのセッティングで一度テストして、調整していくことにしましょう。
まず、声が歪まないようにレベルを調節したら、演奏と声のバランスをとりましょう。当然のことながら、演奏が大きすぎるとエンジニアもボーカリストもピッチや細かいニュアンスの確認が、できなくなってしまうので、しっかりバランスをとりましょう。
演奏の方が大きい場合、ボーカルのフェーダーを上げてしまうと後でバランスが取りづらくなってしまうので、演奏を少し下げるような調節が好ましいでしょう。もちろんたくさんのトラックに録音してある演奏データをすべて下げようとすると、時間がかかってしまい、レコーディングが止まってしまう危険もあるので、あらかじめ演奏をバスでまとめたり、フェーダーのグループを組んでおくとスムーズに作業が行えるでしょう。
■本番前のテイクから録音しておく
ボーカルのエフェクトに関しても、リバーブやディレイをかけすぎると、ピッチやリズム、ブレスや細かい歌い回しのニュアンスなどが判断しづらくなってしまいます。かと言って、ドライにし過ぎて演奏と混じらずに、ボーカルが浮いてしまうのも良くありません。こうしたエフェクトの細かな調整はミックス・ダウンのときにじっくり取り組むこととして、オケになじむ程度のリバーブをかけて録音するといいでしょう。ディレイは極力かけないようにした方が、ニュアンスを確認しやすいでしょう。
こうした準備をして、ボーカリストのウォーミング・アップも兼ねて、一度流して歌ってもらいながらバランスを調整し、歌詞の確認、歌い回しなどのニュアンスを決めて行くと効率的でしょう。
こうしたテストや調節している間にも録音をしておくと、記録された音の確認という点でもいいでしょう。ボーカリストは、2〜3回歌うと声も出てきますし、なおかつ練習のつもりで歌っているので、ほどよくリラックスしています。そうした状態の歌を残しておくということも1つのポイントでしょう。ボーカリストにもいろいろなタイプの人がいて、本番になって本領を発揮するボーカリスト、緊張してなかなか本領を発揮できないボーカリスト、力が入りすぎて回数を重ねるごとに声が変わってしまうボーカリスト……などさまざまです。そうしたタイプを把握する上でも、また、歌い回しなどのチェック、なかなかうまく歌えないフレーズなどを事前にチェックしておくという意味合いでも、最初のテイクから録音しておくことは有効だと思います。
次回はいよいよ本番のレコーディングに突入です。


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